最近、休みの日は30分ほど歩くことにしている。歩みに合わせてあたりを見つめると、これまで気づかなかった風景に出会える。
ある日は燕の雛たちの大合唱に耳を傾け、またある日は雨の夕暮れの空を見て、色の言葉探しをする。
今日はコースを変えて1本隣の道に入ってみた。
いくつか並ぶ店の中に、一軒、ノートや包装紙が陳列されている店がある。
足をとめて中を見ると小学校の教室に置かれていたようなスチールの引き出しがついた棚が何列も並んでいる。
それが気になり、足を踏み入れてみた。
引き出しそれぞれに、セロハン、厚紙、とラベルが貼られており,さらに細かく色分けもされている。
大型ホームセンターだけでなく、最近ではネットで何でも揃う時代になり、昔ながらの文具店に出会うのは久し振りで、つい一段一段引き出しをあけては色を名前と一緒に確認した。
黄色の厚紙を手にした時に教室のイエローカードに使うことを思いついた。
試験前はそれぞれが高揚するのか嵐の前のような空気になることがあり、予期せぬ盛り上がりを見せることがある。一体感を味わういい時間でもあるが、少し行き過ぎる時もある。
そんな時は黄色のカードを見せる。一瞬見せれば警告であるというルールを前もって決めており、口頭での注意よりよく効く。使うタイミングはほとんどないがレッドカード用の赤も手にとったところで、どうしても青が欲しくなった。
青…
結局、青も手にして3枚丸めて持ち帰った。
それぞれをハードケースにいれ、教室で一枚ずつ掲げて、黄色、赤、と見せると生徒たちの表情に緊張の中にも笑みが浮かんだ。
最後に青のカードを出した。
青って何?と教室がざわついた。
これは、あなたたちが頑張っている時に「いいね」を表すカードです
その瞬間、緊張がほどけた。
「青のカード欲しい!」
口々に生徒が言った。